世界のワインと日本酒、焼酎 丸本酒店

昨日、郷乃誉 須藤悦康社長と約30分電話で話しました。
きっかけは、6月に送られてきた商品案内で、花薫光などの超高額酒を除き、全ての原料米が「ゆめひたち」に変更されています。
「ゆめひたち」の素性を聞くつもりで電話したのですが、須藤さんは語り出したら熱くなり止まりません。
須藤さんとのお付き合いは、1987年からですから、もう20年以上になります。
当時から無農薬での米造りに取組んでおられ、「常に20年先を見ている」と語っておられたのは今でも忘れられません。無農薬での米造り、生酒の商品化、アルコール添加の廃止、海外での啓蒙活動など、どれも先駆者であり、まさに20年先を見越した活動だったと思います。その須藤さんが、この先を見越して行っていること。それは、日本人の「脱・肩書き」「脱・ブランド」による本物の中身での価値判断、ということです。
我々酒販店や、酒造関係者でも、米の品種には「こだわり」があると思います。ところが、須藤さんによると、「山田錦」というブランドに依存しすぎで、米の質に関する大事な所を見ていないという現実に問題があるそうです。その大きな原因は、日本の米の質(等級)に関する絶対的な基準が無いことにあるそうで、不良年でも等級付けは「特」から始まってしまうために、最上級の原料と思い込まされているのが現実だとか。
実際に、山田錦の2割近くは「アオ」(未成熟米だと思います)が混在しており、これは精米機にかけると完全に砕けてしまいます。精米歩合は、投入した原料と、摺り上がりの米との重量比です。完全に砕けて糠になってしまう原料が2割混入した米1000kgを精米機に入れて、摺り上がりが500kgなら、精米は50%と表示されてしまいます。実際は、2割は無条件で糠に回ってしまうので、有効な原料は800kgですから、本当の精米は62.5%となり、「吟醸」の基準にすら達しないものが「50%」精白となる訳です。須藤本家では、自家精米なので、事前にメッシュで篩いにかけていますが、共同精米などで行っている所ではそこまでの下処理は出来ていないでしょう。
須藤さんが30年以上前に米の栽培に関わり始めた頃に、そんな蔵元はどこにもなかったそうです。
今、須藤さんが提唱していることは、やはりどこの蔵元さんや、一般のお客様には簡単には理解できないことでしょう。ただ、日本酒の低迷の原因がどこにあるのか?日本国内で若い人たちが見向きもしなくなってしまった日本酒が、なぜ海外で人気なのか?
6月28日のニッカン・ゲンダイにイオンが88円の「第3のビール」の発売に関する記事の中で、
「カルーアミルクで刺し身をつまむ味音痴な若者の急増で、ビール系飲料市場は縮こまる一方。」
との記述がありました。
私が、こんな若い人の話を持ち出したところ、須藤さんは逆に、飲酒経験の少ない彼らこそ偽者を見抜く味覚が健在であるとの見解を示しました。
海外での日本酒のプロモーションの際に、酒類業界ではなく酒に興味のある一般市民のお客様が、試飲の席で他の蔵元さんが持参のアルコール添加のお酒に対して、香りだけで、これはダメだと判断して驚いたそうです。今の日本人(中年以上)は、アル添酒に慣らされてしまい、判別する能力がないけれど、飲酒経験のないこれからの若い人たちのために、上記のような見せかけの50%精白や、ブランド・肩書き頼りではない本物を造っていく必要がある、と力説されておりました。

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